れもんぴちあ

ぼっち飯の楽しさに気付いてしまったらもう戻れないよね

母の話をしようと思う。

 

先月の初め、所属する部活の地区大会で負けた。応援に来てくれた両親の前で完敗した。今思い出しても吐き気がする位、不甲斐ない戦いぶりだったように思う。

 

母は何も言わなかった。ただ私の姿を恨めしそうに見つめていた、事だけは覚えている。

 

それから数日、つまらない事で口喧嘩になり母が放った言葉が、未だに記憶の裏側にこびりついて離れないのだ。

 

「負けた癖に。何も出来ない癖に」

 

今回の喧嘩の内容と、大会の事は全く関係ない。予想の地平を超えて、その一言は私の心に深く刺さった。

大会に負けた不甲斐ない私を、母は許してくれていなかったのだ。ずっとずっと私の事を「負け組」だと見下していたのだ。

 

それが私には、辛かった。

私がこれから幾ら勝利を収めて名誉を挽回したとしても、今回の負けは一生母の中で私の不名誉として残るのだろうか。

怖い。未来が怖い。誰も私の過ちを忘れてくれない、許してくれない。

 

母はほんとうにいい人だ。真面目で優しくて、手際が良くて仕事もできる。

でも、時々人生に疲れたような表情で空虚を見つめている。

 

そんな母を、私は誰よりも可哀想だと思う。